●船員不足と人為的ミスによる海難事故──無人運航船プロジェクトが始動した背景
日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」は、2026年3月27日、都内の晴海客船ターミナルで記者発表を実施し、陸上から複数の無人運航船を同時に支援する世界初のデモンストレーションを公開しました。
島国・日本の物流を支える国内輸送船は、人手不足や船員の高齢化、ヒューマンエラーによる海難事故といった課題を抱えています。こうした背景を受け、日本財団はその解決策のひとつとして、2020年2月から「MEGURI2040」をスタートさせました。
●世界初!複数の無人運航船を陸上から遠隔支援する運航デモを公開
現在は、実用化を目指す第2ステージ。旅客船「おりんぴあどりーむせと」、内航コンテナ船「みかげ」、新造定期内航コンテナ船「げんぶ」、RORO船「第二ほくれん丸」の4隻が稼働。すでに商用運航も行われており、自動運航は実用段階に入りつつあります。例えば、運航ルートの作成や操船など、船員の主要な業務を自動化することが可能で、プロジェクトディレクターの桑原悟さんは「操船で一番難しいと思われる離着桟が、自動化できているのは素晴らしい」と話しています。
この日は、こうした成果の発表と合わせ、「陸上支援センター」が複数の無人運航船を同時に支援する世界初のデモンストレーションを実施。会場となった都内の「晴海客船ターミナル」と兵庫県西宮市にある常設型の「陸上支援センター」、そして航行中の無人運航船とを中継で結び、運航ルートの送受信などを実施しました。
●社会実装へ加速──無人運航船が海運の未来を変える
日本財団の尾形武寿会長が「自動運航船を実用化すれば、船員の負担軽減や物流インフラの維持のみならず、離島航路の活性化や陸上支援など新たな働き方も生まれてくるかもしれない」と語る「MEGURI2040」。プロジェクトでは今後、本格的な社会実装に向け、さらなる検証を進めていくとのこと。日本財団の海野光行常務理事は、「これから大事なことは、実証の中でデータを集めていくこと。集めたものをルールづくりに生かしていくこと。また、新造した“げんぶ”については、おそらく世界でも最高峰の自動運航技術を持った船だと思う。この船が日本から大きな波を起こしていく存在になってくれたら」と期待しています。
海運のあり方そのものを変える可能性を秘めた無人運航船。今後の社会実装の進展に注目が集まります。





