海の体験機会づくり

子どもたちが潮だまりで海の生き物探し!太平洋に隣接した“海の博物館”が行う「磯・いそ探検隊」

●海離れが進む日本──地元の海を知る博物館が提供“子ども向け海体験”

神奈川県の「観音崎自然博物館」、千葉県立中央博物館分館「海の博物館」では、子どもたち向けに海体験の場を提供しています。

近年、日本では「海離れ」が深刻化。日本財団が2024年7月に発表した「海と日本人」に関する意識調査によると、「この1年間で一度も海を訪れていない人」が2019年の33%から52%へと急増。その一方で、小学生や高校生の海への関心は高いという結果も出ています。

●カニやハゼも発見!千葉県勝浦『海の博物館』で学ぶ磯観察

千葉県勝浦市にある「海の博物館」。目の前に太平洋が広がるこの博物館で8月22日に行われたのは、「磯・いそ探検隊」。浜辺や潮だまりに棲む生き物を探して観察します。同館の主任上席研究員・奥野淳兒さんは「日本は、周りを海に囲まれている割には、なかなか海のことを教える機会は少ないと言われている。博物館は社会教育施設で、当館は千葉県の海の生き物を対象としている自然史博物館なので、周りにある豊かな自然を博物館活動の一部として捉え、実物を手にしながら親しんでもらうようにしている」とその意義について語っています。子どもたちは岩をひっくり返してカニなどの生き物を見つけると夢中になって捕まえるなど、好奇心いっぱいで観察を進めます。さらに、潮だまりに足を進めて、ここでも生き物探し。生き物を見つけては「あっ、いた!」と次々と歓声があがります。最後は、捕まえた生き物を集めて、研究員が「これはセジロハゼという種類で、この辺りの磯には3~4種類いて、その内の1種はまだ名前がついていない未来の新種だったりする」などと詳しく解説。今年、沖縄県からやってきた研究員の小林大純さんはこういった磯観察から地域の海の特徴や海の生き物の変化を感じることができるといいます。「(千葉と沖縄は)同じ黒潮沿いなので、沖縄と似た魚が水温の上昇などによって見られる。一方で、ここは海藻がよく生えているので、藻場に依存する魚が見られる」

●都会では味わえない“海の学び”に子どもたちが大興奮

磯・いそ探検隊に参加した子どもたちからは、「いろんな生き物がいてビックリした」、「岩の下にいるカニをたくさん捕まえられて楽しかった」といった声が。また保護者からも「(子どもが)ずっと磯遊びをしたいと言っていたので、やっとさせてあげられた。普段は都会っ子なので、こういう機会は本当に貴重」との感想が聞かれました。

そして、神奈川県の観音崎自然博物館でも夏休みの子どもたちに海での体験を提供。こちらでは海の中を覗き込んでいました。そこで発見した海の生き物とは。

後編に続く

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