生態系

ゼロから100万個へと復活した二枚貝

近年、有明海から、天然のアゲマキがいなくなっている。

ハマグリなどと同じ種類の二枚貝アゲマキは、もともと有明海では、煮つけや味噌汁など、様々な料理に使われていた特産品。しかし、その漁獲量は、平成になってドンドン減り続け、1994年以降はゼロに。その原因は、佐賀大学 低平地沿岸海域研究センター特任助教授の藤井直紀さんによると、「原因のひとつは、貧酸素。酸素が減っていく現象で、海中の酸素が少なくなると、生き物が減っていくことになります。それから、泥の状態が悪いということも、ひとつの原因かもしれません。例えば、有毒ガスである硫化水素が発生することで、生き物が生きづらくなります」と話す。海中の酸素が様々な原因によって減少。また、海底に状態が悪い泥があり、そこから有毒ガスが発生するなど、多くの要因が絡み合ってアゲマキは減ってしまったという。
  
そこで、佐賀県では、アゲマキの復活に約20年前から取り組んでいる。佐賀県有明水産振興センターは、アゲマキの赤ちゃんである稚貝100万個の生産に成功。その稚貝を、産卵と成長に適した場所を探し、何度も場所を変えながら、2009年から毎年、冬に100万個 放流している。その結果、その後も試験養殖を重ねたことで、天然の漁場でアゲマキの稚貝が育っていることが確認できた。稚貝は佐賀県鹿島市周辺の海で多く増えているため、今後、有明海全体に広げ、将来的に、持続的に水揚げが出来る状態まで取り組みを続けたいとしている。

かつてのように、有明海で育ったアゲマキを食べられる日が着実に近づいている。

素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin佐賀」
協力:株式会社サガテレビ

ad_pc_546

関連記事

  1. 伝統文化

    江戸時代から武士たちの御用達!海との繋がりを今に伝える庄内竿

    山形県庄内地方は、古くは江戸時代から磯釣りが盛んな場所。そんな…

  2. 生態系

    鮮魚コーナーで見かける海のエコラベルって何?

    京都市内にあるスーパーマーケットの鮮魚コーナー。こちらに見…

おすすめ記事

  1. 海の生態系を支えるアマモの復活

最近の記事

  1. 水中ドローンでブルーカーボン調査に革新!──誰もが海の環境保…
  2. ポルトガル館が伝えた「海を共有し守る」というメッセージ──閉…
  3. 海の万博でパビリオンが伝えた海洋プラスチック汚染やブルーオー…
  4. 海に囲まれた“夢洲”で開催!大阪・関西万博が描いた「海でつな…
  5. 徳島・鳴門海峡で起こる魚種変化や食害魚、海ごみ問題に挑む!行…
PAGE TOP